という流れで、祖父の軍歴が追えるか照会をかけものの、結果から言うと軍歴は確認できなかった。
メールで照会したのが4月27日の夜で、担当課からの返信があったのが30日。後述するが、照会数がそれなりにあるだろうことを考慮すると、かなり早く対応してくれたと思う。
メールの内容はシンプルに
「◯◯様(私の祖父の氏名)の軍歴は確認できませんでした」
だけだった。
前回の記事に書いたが、終戦時の混乱等により兵籍簿が焼却・処分されている可能性があることは知っていたが、返信にはそこまで言及されていなかった。
また、祖父の本籍は生まれてからずっと愛知ではなく、生まれた時は中部地方のある県が本籍で、結婚した直後(おそらく昭和10年くらい?)に転籍している。
兵籍簿に徴兵検査時(20歳到達時)の記録から載っているとすれば、もしかすると兵籍簿は前の本籍地のままになっている可能性も考えた。
以上を踏まえ、以下の内容で再度メール照会した。
①転籍があった場合、その内容は兵籍簿に反映されると考えて良いか
②兵籍簿の確認ができないというのは、「そもそも軍歴がなかった(徴兵されていない)」以外に資料の滅失(終戦時の混乱等)により確認できなかった可能性があると理解してよいか。
なんとこちらは数時間後に直接電話で回答があった。電話があった時は所用で取れなかったが、たまたま仕事が休みの平日だったのですぐに掛け直して教えてもらった結果は次のとおり。
①については、明確には聞き出せなかったが、おそらく兵籍簿に反映される(つまり中部地方某県から愛知県に変更される)
②については、
- 愛知県の場合、終戦直後の早い時期に焼却処分命令が出て処分した
- そのため、兵籍簿のおよそ7割が処分されている
- この手の照会は多くいただくが、以上の理由により回答できないことが多い
- 焼却処分の状況は地方により異なり(注:指揮命令系統の乱れだと思われる)、地方によっては兵籍簿が焼却処分を免れて残存していることもあるようだ
との回答をいただいた。
他の自治体での対応は分からないが、愛知県の担当課の方には、メールの回答や、電話による回答など迅速に対応していただき、ありがたかった。
そんなわけで、祖父の軍歴を書類・資料で辿ることはできなかったが、徴兵されたのは確かなので処分された7割の中にあったのだろうと思う。
これに関しては、Google scholarで調べてみるとこんな論文が見つかった。
CiNii 論文 - 終戦前後における陸軍兵籍簿滅失の原因とその類型化 : 連隊区司令部における陸軍兵籍簿の大量焼却のケースを中心に
まさに愛知県での焼却処分の状況も述べられており、詳しくは内容のとおりだが随分メチャクチャなことをしたものだと改めて思う。
終戦時の混乱だけでなく、兵籍簿の保管事務の移管を受けた自治体(県)での火災等で消失した事例もあるらしい。
ふと思いついて調べ始めて(そしてすぐ終わったが)思わぬ資料に当たったので、その点では興味深いことだった。